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「ラグビーを通して築いた“信頼”と、フィジーで見つけた新たな夢 」 - フィジー派遣/ラグビー隊員 堀口裕二さん -

掲載日:2026年5月26日


フィジーのバ・プロビンシャル・フリーバード・インスティチュートに、2024年2月から2年間、JICA海外協力隊として派遣された堀口裕二さん。現地ではラグビー隊員として、高校での部活動指導を中心に、地域の子どもたちへの普及活動にも取り組みました。 
「将来、海外でラグビーのコーチをしたい。」 
その想いを胸に進路を模索していた中で出会ったのが、JICA海外協力隊だったといいます。 
「海外で指導するという夢に一番近い道だと思ったんです。」 
強豪校での指導、地域に根付くラグビー文化との出会い、そして人とのつながり。フィジーで過ごした2年間について、お話を伺いました。 

JICA海外協力隊に応募したきっかけを教えてください。 

将来、海外でラグビーのコーチをしたいという夢があり、その道を模索していた中でJICA海外協力隊に出会いました。海外で指導するという夢に一番近い道だと思い、応募しました。 

現地ではどのような活動をされていましたか? 

派遣先の高校でラグビーの指導をしていました。フィジーも日本と同じ3学期制で、主に1・2学期は学校での部活動指導、3学期は地域の子どもたちへのラグビー指導を行っていました。 
1年目は学校の部活動のの延長としてクラブチームを立ち上げ、3学期にセブンスラグビーの指導もしていました。2年目は、教え子たちが所属していた地域チームへの指導を行いました。 
フィジーでは村ごとにチームがあるような形で活動していて、“草ラグビー”のような雰囲気でした。人はたくさんいるので、指導者さえいれば活動や大会ができる環境でした。

日々の生活はどのようなものでしたか? 

基本的には2年間、同じようなルーティーンで生活していました。日曜日はみんな教会へ行くので、基本的に何もできません。月曜日から金曜日までは学校へ行き、朝から夕方まで学校で過ごしていました。 
子どもたちの様子を見たり、先生方の手伝いをしたり、ラグビー以外の場面でもできることをやるようにしていました。毎日学校にいることで、ラグビー部の子どもたちから自然と話しかけてもらえるようになり、少しずつ信頼されている実感がありました。 
部活動は1日2時間程度で、チームはU15〜U18まであり、全部で約200人の部員がいました。各カテゴリーにコーチが2人ずついて、自分は最年長カテゴリーを担当していました。 

強豪校への赴任にプレッシャーはありましたか? 

派遣先の学校は、フィジーの中でも全国トップレベルの強豪校でした。13人制ラグビーが主流の地域で、全国1、2を争うような学校だったので、もちろん責任は感じていました。 
学校側からは、戦術面や筋力トレーニングのメニューを考えてほしいという要望もありました。ただ、自分の中では「教えること」だけではなく、それが継続していく仕組みを作ることが大切だと思っていました。
どうすれば文化として残っていくか、継続されるかということを常に考えていました。 


文化の違いで苦労したことはありましたか? 

使ったものを片付けるなど、基本的に大事にすべきことは伝え続けていました。難しい部分もありましたが、少しずつ定着していると感じる場面もありました。 
ただ、言語や文化の違いで多少大変なことはあっても、自分の考え方を変えれば大抵のことは問題になりませんでした。2年間しかないので、そこで悩み続けるのはもったいないと思っていました。 
フィジーの人たちは良い意味であまり引きずらないので、その空気感に自分も助けられていたと思います。 

指導する上で大切にしていたことはありますか? 

まずは「信用されること」を大切にしていました。 
いきなり海外から来た自分を、最初から信用してくれるわけではないと思っていたので、まずは彼らの話を聞くことを意識していました。 
深い部分まで理解してもらおうと思ったら、信頼関係がないと受け入れてもらえないと思ったので、そこを一番大事にしていました。 

活動を通して、選手たちの変化を感じた場面はありましたか? 

一緒に過ごす時間が増えるにつれて、「信用されているな」と感じることが増えていきました。 
特に印象に残っているのは、帰国直前の大会です。選手たちが自分の名前を出しながら話しているのを聞いて、「コーチの最後の試合だから勝とう」といったことを話していたんだと思います。 
それを聞いた時に、「必要としてもらえているのかな」「やってきたことが伝わっていたのかな」と感じて、彼らと関わってきてよかったと思いました。 

フィジーでの生活で印象に残っていることはありますか?

環境が本当に良かったです。天気も良くて空気も澄んでいたので、体調を崩すことはほとんどありませんでした。 
また、ラグビーをやっていたというだけで、フィジーの人たちはとてもフレンドリーに接してくれました。ラグビーをきっかけに人間関係が広がっていき、「また帰ってきてね」と言ってもらえた時は、本当に来てよかったなと思いました。 
帰国する時も、「日本に帰る」というより、「次はいつフィジーに帰ってくるんだろう」という感覚でした。それくらい、自分にとって特別な国になっていました。

派遣前と後で、ご自身の変化を感じる部分はありますか? 

考え方がおおらかになったと思います。以前より、あまりせかせかしなくなりました。 
逆に、日本へ帰ってきてからは、時間通りに来る電車やバスに違和感を感じることもありました。時間に行動を制限されているような感覚があって、不思議な気持ちになりました。 

現在の活動に、フィジーでの経験は活かされていますか? 

現在は大学で指導していますが、「相手の話を聞くこと」や「相手を理解しようとすること」は今も大切にしています。 
一方で、これまでの自分のコーチングスタイルでは通用しない部分も感じていて、日々勉強だと思っています。 

今後挑戦してみたいことはありますか? 

2年間コーチをやる中で、現場での指導だけではなく、環境を整える立場にも興味を持つようになりました。 
例えば、物資が継続的に回る仕組みを作ったり、国と国をつないだりするような役割です。実際に派遣中も、日本から不足している練習物資をどう送ってもらうかを考え、実践していました。 
そういった仕組みづくりにも、今後関わっていきたいと思っています。 

最後に、JICA海外協力隊への応募を考えている方へメッセージをお願いします。

2年間やりきるという決意をもって応募していただきたいです。その決意ができず迷っているなら、応募しない方がいいと思います。 
助けを求めている人や要請先は、本気で要請を出しています。生半可な気持ちで行くのは、その国にも、要請先にも、JICAにも失礼だと思います。 
2年しかないので、確固たる決意を持って行くべきだと思います。